結婚して年月が経っていくと、老後のことを考えざるを得ません。
最近では年金に頼ることも難しくなってきていますし、自分達の老後は自分達で守っていくしかないのが現状です。
そこで、この記事ではそろそろ老後を意識し始める40代夫婦に必要な老後資金・生活費について、実際にデータに基づいて考察してみました。
おすすめの貯蓄方法も合わせてご紹介していますので、参考にしていただければ幸いです。
40代夫婦に必要な老後資金は?
20代、30代と比べて、40代は仕事の面では責任ある役についている方も多い事でしょう。
女性で子どもがいる方であれば、手がかかる子育てがやっとひと段落している反面、学校や習い事、生活費や各種保険料など、出費の多さも悩みの一つに。
中には親の介護に携わっている、という方もいるのではないでしょうか。
そんな生活の中で、退職するまでの20年前後で、どれ程貯金すれば安心した老後の生活が出来るのでしょう。
メディアでは、おおよその金額を出しているところもありますが、5000万円や1億円という数字だけを見ると、そんなに貯めることは難しいなと、心配や不安を感じてしまいます。
では、実際のところ本当にそのような金額が必要なのでしょうか?
自分の今の生活の延長線上として考えても、漠然とした考えが浮かぶだけで、実際のところはっきりと答えは出ません。
そこで、今回は40代夫婦に的をしぼり、「40代夫婦に必要な老後資金」について、具体的に見た中で、資金の貯め方なども詳しく紹介していきます。
老後に必要なお金は〇〇万円
老後に必要な資金について、世帯主が60歳以上で無職世帯の1ヶ月間の支出についてのデータを見てみると、総務省の「家計調査年報」では次のようになっています。
- 食費 68,193円
- 住居費 14,346円
- 光熱・水道費 20,427円
- 家具・家事用品 9,290円
- 被服及び履物 6,737円
- 保険・医療費 14,646円
- 交通・通信費 26,505円
- 教育・教養娯楽費 25,243円
- 小遣い 6,225円
- 交際費 25,243円
- その他支出 22, 280円
- 合計 239,604円
85歳までの25年間の生活費を算出すると、約24万円×12か月×25年間=7200万円
これはあくまでも平均の金額であって、各家庭により異なりますので、ご自分の家庭の支出と比較しながら見てみましょう。
老後は子どもにかける教育費などはかからなくなりますので、生活費がこれよりも多くなるのか少なくなるのか、だいたいの推測はできるのではないでしょうか。
そして、次はもらえるお金についてですが、退職後の主な収入源である公的年金は次の通りになっています。
- 厚生年金…約14.8万円(月額)
- 国民年金…約5.5万円(月額)
以前は国民全員が60歳から年金をもらえていましたが、平均寿命が延びたことや、高齢者の増加により、支出を抑えるために支給開始の年齢が65歳に変更されました。
ということは、60歳で退職してから、年金が支給される65歳までの5年間は、収入がない期間となるんです!
では、その間のやりくりの仕方も含めて、60歳までに必要な生活資金について、次でまとめてみます。
60歳までに必要な生活資金は3000万円
夫婦二人が65歳から年金をもらった場合(夫が厚生年金、妻が国民年金とする)、前項の(夫)月額14.8万円と(妻)月額5.5万円すると、65歳から85歳までの20年間にもらえる金額は夫婦二人で4,872万円となります。
60歳から85歳までの25年間に必要な生活費は7,200万円でしたから、65歳から85歳までの20年間の生活資金は、必要な生活費(支出)からもらえる年金(収入)を引いた、2,328万円になります。
この他にも、緊急な支出が500万円~1,000万円ほどあると仮定すると、約3,000万円前後は生活資金が必要となりますから、60歳までに貯めておく目安になります。
また、60歳から65歳までの5年間は、無収入となり、単純計算をしても、月24万円の生活費を5年間として、24万×12ヶ月×5年間=1,440万円です。
しかしこれはあくまで平均的な金額でもありますし、退職金も収入として計算した場合、必ずこの金額が必要になるとは考えられないので、自分の生活と照らし合わせて、必要な額のおおよそを算出してみて、生活の仕方を考えるのはどうでしょうか。
また、その間のやりくりとしては、
- 生活費は貯蓄を切り崩す
- 65歳まで働く
- 年金繰り上げ請求の利用
なども考慮して65歳までの5年間の支出をカバーする方法を導き出していきましょう。
40代夫婦であれば老後までに約1000万円必要
今回40代の夫婦を具体的に見ていきますが、40代夫婦であれば60歳までにはいくら必要となるでしょうか。
「厚生労働省の平成25年就労条件総合調査結果の概要」では、大学卒で35年以上働き、60歳で定年退職した場合の、退職金の平均は2,156万円です。
(参考:平成25年就労条件総合調査結果の概況)
老後に必要な生活資金は、前述で2,328万円でしたので、2,328万円-2,156万円=172万円です。
これに60歳から65歳までの5年間の生活費1,440万円を加えると、必要な生活資金は1,612万円となります。
これを念頭に置き、次に40代の平均年収を見てみます。
国税庁のH28年民間給与実態調査によると、40代の平均年収は477万円、男女別に見てみると、男598万円、女300万円となっています。
(参考:平 成 28 年 分 民間給与実態統計調査)
また平均年収は、企業規模により変動が見られ、従業員が100人未満の事業所では、年収も300万~400万以下が最も多くなり、5,000人以上の企業に至っては、年収1,000万~1,500万以下と、企業の規模が大きくなれば、収入も多くなるようです。
次に業種別の給与階級分布より、収入の高い業種については、順に電気・ガス・鉄供給・水道業で769万円、金融業・保険業626、情報通信業575万円、宿泊業・飲食サービス業234万円、と業種によっても随分と給与の差が出ていることがわかります。
また、正社員か非正規かでの差も見てみると、正規社員の平均年収は486万円に対し、非正規は172万円と、なんと2倍以上の差が生じてきます。
平均的な給与の額を見てみると、将来年金に影響すると考えると、40代での収入アップを考えるならば、現在のスキルを生かし職種は変えずに、給与の高い業種や企業の規模が大きな会社への転職なども、一つの方法と言えます。
収入に対する貯蓄額の平均はというと、40代で二人以上の世帯の平均貯蓄額(2017年)は643万円でした。
先ほど計算した老後に必要なお金1,612万円から平均貯蓄額(643万円)を引くと、969万円となり、この分の貯蓄が今後必要となる額となりますので、40代夫婦であれば老後までに約1,000万円必要となります。
もちろん、この平均貯蓄額が高いか低いかは、各ご家庭で違うと思いますので、目安として考えていただけたらと思います。
特に40代は子どもの教育費やローンの支払いなどで、出費が多い時期と言えますので、どうやって貯蓄をしていくか、老後までの必要貯蓄額を目標に掲げながら頑張る必要がありますね。
(参考:家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)平均結果-(二人以上の世帯))
40代夫婦が老後資金を貯めるために必要な世帯収入は?
前述で総務省の「家庭調査年報」から60歳以上の1ヶ月の平均支出を紹介しましたが、今度は40~49歳の2人以上の世帯を見てみましょう。
月平均の消費支出は31.5万円です。
この数字をもとに、老後資金を貯めるために必要な世帯収入を考えてみます。
仮に40歳から約20年間に1,000万円貯金するためには、月に4.5万円の貯金が必要となります。
月4.5万円×12ヶ月=54万円、54万円×20年=1,080万円
ということは、月平均31.5万円の支出があるならば、貯金に必要な4.5万円をプラスとすれば、月36万円の収入が必要となりますね。
もしこれに、年2回のボーナスを加えるとならば、もっと定額の収入が可能になります。
そこで、我が家も40代の夫婦ですので、今後の老後までの貯蓄額の計算をしてみました。
現在夫婦ともに43歳ですので、定年までのあと17年間でどれ程の貯蓄が出来るでしょうか。
夫(正規社員)の月収が約28万円、妻(パート)の月収が約8万円です。
現在の1ヶ月の支出はというと、
- 保険料…3万円
- スマホ代…2万円
- ガソリン代…1.5万円
- 子供2人と妻の習い事…3.5万円
- 教育費…8,000円
- 娯楽費…2万円
- お小遣い…7万円
- 付き合い等…2万円
- その他緊急用…1万円
- 合計 22.8万円
夫と妻の月収を合わせて36万円ですので、1ヶ月の総支出の22.8万円を引くと、残高は13.2万円となります。
なぜこんなに残るのかというと、実は、親と同居しているのです。
我が家は専業農家で、かなり広い土地を利用して農業をしています。
食費や光熱費、ガソリンの一部、日用品の一部の支払いは、全て親からの手出しとなり、私たち夫婦は一切出していません。
なぜかと言うと、私たち夫婦より、農業をしている親夫婦の方が、年収が高いからです。
家業を手伝えば、そこそこお給料も貰えると考えますが、そこは「お金」か「自由」か、という内輪の話になってくるので、現在は休日に手伝えるときは家業の手伝いをする代わりに、生活費はほとんど出してもらっている状態です。
ということで、月13.2万円を全て貯金すると、20年間で3,000万円以上貯金できる計算になります。
でも、これまでもそうですが、我が家にはそれほど貯金はありません。
やはり、ちゃんとした目標金額の設定がないと、どうでもいいものをすぐ買ってしまいます。
なので、今は目標金額を設定して、日々無理のない節約をしながら、老後の備えをしています。
40代のうちから老後資金を貯める方法5選
安心して老後を過ごすために、40代のうちから老後資金を貯める方法を、調べ実行した結果を、ここで5つ紹介します。
目標金額を設定し貯金を優先する
毎月給料が出たら、どのような仕分けを行なっているでしょうか?
ここではまず、給料から使う分を取り分けるのではなく、先に一定額を別の貯金口座に移すということが大事になってきます。
そして、残ったお金で、1ヵ月間生活を行うようにします。
貯金が苦手な人は、買うものを先に決める傾向がありますので、貯金を先にすることで、下確実な貯蓄を実現でるということですね。
私も必要な支出を先に引き出していたので、ついつい貯金が減ってしまうことが多かったです。
また、カード利用をよくする人は、お金が見えないため、つい使い過ぎてしまうことがありますよね。
私もカード関係は曖昧な部分があり、残高いくらだったかな?とよく考えていました。
これが、一番の無駄遣いなんですね。
だからまず、カード専用の引き落とし口座を決める。
そして、必要金額だけ入金する。
この2つをしっかりルールとして定着させれば、確実に使い過ぎの予防ができます。
家計簿をつける
意外と見落としが多い支出について、しっかりと把握をするには、家計簿をつけるのが一番です。
一昔前の様に、細かくノートに書いて行くのはもう時代遅れです。
しかも、それが毎日となると、私も含め面倒で続かない人も多いようです。
それが今は、スマートフォンなどでインストールできる、無料家計簿アプリがあるんですよ。
このアプリを使うと、細かくノートに買った物を記入する手間もいりませんし、購入したレシートの写真を撮って、その金額を打ち込むだけで、家計簿の管理が出来ます。
こうして、支出をいつでも見える形にしておけば、意識的に浪費を抑えることが出来ます。
積立型の生命保険の活用
現在入っている保険、いくつありますか?
うちの場合、夫が以前保険業だったこともあり、家族全員それはそれは高価な保険料を払い、安心を買っていました。
でも、ちょっと見直しをしてみることにしました。
積立型の保険は、満期になると保険金が支払われますので、もしもの時の備えをしながら、同時に貯金も出来ます。
そんなメリットを活用しない手はないと思い、老後資金にプラスされるような商品を選びました。
とはいえ、このようなメリットがある反面、積立型の保険は、いわゆる掛け捨て型の生命保険より、日々の保険料が高い場合が多いですし、早期の中途解約にはペナルティが生じる、というデメリットもあります。
なので、こういったメリット・デメリットをしっかり考慮しながら、自分の生活に合ったものを選ぶようにしたらいいのかなと思います。
60歳までにローン返済を実行する
現在何らかのローンを組んでいる人は、返済期日を60歳までに終わらせるように見直すのも、貯蓄を増やすための一つの方法です。
返済年数は、短ければ短いほど支払う利息が少なくて済みますよね。
ということは、繰り上げ返済を考えたり、思い切って低金利のローンに乗り換えるなど、収入にあった返済の仕方を選んでみましょう。
うちの場合は、親と同居する時に、自宅を新築しましたので、その時のローンがあります。
しかし、私たちが60歳までには返済出来るように、しっかり計画実行をしています。
負担にならない程度の副業で収入を増やす
副業といっても、本業とは別にすることですので、辛い作業では長続きしません。
自分の好きな趣味に関する事や、特技、知識を発揮できる分野で、収入を得られるようにしましょう。
特にネットや自宅で出来る仕事は、時間を優遇しながらできるので最適です。
例えば、モノ作りが趣味なら、オリジナルのものを制作し、サイトで販売したり、自宅でアクセサリーや料理教室を開くなど、やれることは意外と多くあります。
私も子ども用品で使わなくなった物や、読まなくなった本などを販売したら、かなり売れたのでびっくりしました。
今はネット社会ですので、どんどん活用していくことが、収入を増やす鍵となりそうです。
私自身40代となり、まだ老後の生活ははっきりとは見えていませんが、貯められるときには、気を抜かずしっかりと貯めることが大事かなと思います。
これらのことを実行しながら、今後もお金に対する不安をなくすために、いろいろな知識を身に付けていきましょう!